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検索の下ごしらえ

インターネットの海はときに広すぎて、本来の目的を見失ったり、これでいいかと妥協したりしがちです。なにかを検索する前に、下準備をしておくことで、そうした状況に陥るのを防ぐことができます。



吹奏楽の活動をしていると、はじめは人に言われたことをやるだけかもしれませんが、

色々知っていくにつれ、だんだん「ほしいもの」がでてきます。


…次の定期演奏会で、あのアニメのオープニング曲やれたらいいな!

…この曲つくった人、他にどんなの書いているんだろう? 聴いてみたい!

などなど。


自分の願いを叶えるために、いざ行動しようという時、基本をおさえておけば、ぐっとスムーズに事がすすみます。

さて、どんな順序で行動すれば、一番スムーズに事がすすむでしょうか?

管理人のおすすめするチャートは、こんなふうです。


 ① 何が欲しいのか、どんなものを探すのか、もいちど確認する。

     ↓

 ② できるだけ幅広く、色々な選択肢を探す、検索する。

     ↓

 ③ そして、買うのか、借りるのか、はたまた創っちゃうのか、考える。

     ↓

   実際に入手!


ひとつずつ、見ていきましょう。


①何が欲しいのか、どんなものを探すのか、もいちど確認する。

  一見当たり前のようですが、これ、結構重要なことです。

たとえば以下の3人。各人とも、もう購入したいものがバッチリ決まっているようにみえます。


ケース1 「なんでそんな面倒くさいことしなきゃなんないの。

私はクラのスケールの本、アイヒラーのスケールって教則本を買いたいの!

駅前の音楽ショップで買ったんだよーって、

同じパートの○○ちゃんが言ってたし、今更考える余地なくない?」


ケース2 「去年先輩がソロコンでやってた、

クレストンのサクソフォンソナタって曲、

めちゃめちゃカッコ良かった!あれ吹けたらすっごいイイよなー。

吹部のみんなには内緒で譜面買って、練習したい。ネットで買えないかな?」


ケース3

 「フィリップ・スパークの《ドラゴンの年》を今度うちのバンドでやるから、CDが欲しくて。

CDショップに行ったら、一枚だけこの曲が入ったのがあったんだ!

演奏者はイギリスのバンドみたい。英語だからあんまよく分かんないけど、これにしよー」


いやいや、ちょっと待ってー。


彼女(彼)らに、いくつか質問をしてみましょう。

質問その1:あなたはなぜ、その譜面、もしくは音源を欲しいと思ったのでしょうか。

「え、だってもっと上手くなりたいんだもん。

○○ちゃんに聞いたら、音大に行くようなクラの子は

みんなアイヒラーのスケールをやるんだって。」

「だって超カッコ良かったから。

俺も来年ソロコンでやれたらいいなって思ったし。」

「いや、《ドラゴンの年》が入ってるのはこれしかないんだから、

しょうがないじゃん。」


ケース1の彼女の場合、「うまくなる」ために、この教則本を買うのだということです。

けど、「うまくなる」という願いを満たすためなら、別にアイヒラーのスケールじゃなくてもいいのでは?

「え、だって音大とかでも使ってる本なんでしょ?

どうせなら音大生用のいい教本で練習したほうがいいと思って。」

アイヒラーのスケールの本、実際に見てみたことあります?

うちにあるのを試しにみてごらんなさい。

「なにこれ、…全然説明書きがない。

うまくなるためのこととか書いてなくて、音階とかアルペジオとか…これだけ?

え、スケール以外の曲とか、載ってないの…」


アイヒラー クラリネットのためのスケール》を初心者が使う場合は、レッスンの先生に練習法や奏法をその都度指示・矯正してもらいながら進めていく場合が多いと思います。

まだレッスンについてない子が独学でこれを使って練習するのは、かなりの努力、忍耐力が必要かもしれません。(管理人には絶対できなかったと思う)

もし本気で音大に行こうと思うなら、スケール買うより、レッスンの先生探して相談するのが先かも。


彼女によくきいてみれば、別に本気で音大行きたいと思ってるわけじゃないとのこと。それならきっと、他の選択肢が色々あるよ、ってことで、彼女は他にもスケールの載っている本を見てみることになりました。


ケース2の彼はどうでしょう。

ほかの人が演奏していて感激した!演奏したい!って気持ち、大事です。でも、友達や先輩と同じ曲をレパートリーにしたら、何かの発表会とかで曲がかぶっちゃったりして。

「うーん、確かに…パートの子も皆、あの曲かっこいい!って言ってたしなー…」

友人との無用な争い(笑)を防ぐことにもなりますよ。

あと、これがその、「P.Creston Sonate Op.19」 なのですが。難易度的にはどうかな?

「げ、…先輩こんなの吹いてたんか。ここのフラジオとか、俺まだ無理だわ。」

クレストンのソナタは、今でこそソロコンなどで取り上げるひとも出てきましたが、一昔前までは「超難曲」のレッテルを貼られていたんです。今は奏者のレベルがあがり、楽器も良くなり、もっと難しい曲が増えたので演奏する人が多くなってきてます。

あと、余談ですがこの曲、実はサクソフォンよりピアノが難しいことでも有名。腕の立つ、伴奏をやり慣れているピアニストでないとかなりキツイですが、伴奏者のアテはあるのですか?

「同級生にお願いする気満々でした…確かに、これはちょっとヤバいですね」


ソロコンでやるような曲だと、たとえば、E.Bozza《アリア》 とかJ.M.DAMASE《バカンス》 とか、他にもありますよ。彼はサクソフォンの独奏曲を色々検索してみてみるのがいいかも。


さて、ケース3の方はいかがでしょう。

演奏してるのはイギリスのバンドだそうなのですが、そのバンドで演奏してるのは、あなたたちのバンドが使う譜面と同じでしょうか?

「え、どゆこと?」

このフィリップ・スパーク《ドラゴンの年》は、もともと英国式ブラスバンドの編成のために書かれた作品です。スパーク本人が、木管楽器も含んだ編成(いわゆる、日本でよくある吹奏楽団の編成)のために書きなおした版もあるので、日本ではこれを使っていると思います。

でも、このCDの演奏団体は、どうやら英国式ブラスバンドの編成のようなので、あなたたちのやる譜面とは同じではない可能性がありますね。

「うわー、ほんとだ。どうせ買うなら、

自分たちが吹く譜面と同じものを使ってる人たちの演奏のほうが、いいなあ」

また、インターネット上から音源を購入することも可能ですから、そっちも検討してみてはどうでしょう。

目の前にCDあったら、欲しくなる気持ちはわかりますが、ひょっとしたら、好きなあの曲もこの曲も一緒に録音されたCDに巡りあえたりするかもしれませんのでね。

いわゆる「コンクールのためのカット」をしているか、していないかの問題も音源購入の時には大きな問題になってくるでしょう。演奏の個性やクオリティも、CDによって、演奏者によって違いますものね。

譜面の場合も、版の違いは重要です。オーケストラの曲を吹奏楽に編曲したものなどは特に、編曲者が違ったりして、複数のバージョンが存在していることが多いので、人気のあるアレンジ作品などの場合は、特に注意が必要だと思います。



――さて、上の3人は、もともと自分が欲しいと思っていたものとは違うものを探すことにしたようですね。

自分はほんとは、何がほしいのか?何を達成するためにこれを買うのか?と自分の持っている願いを客観的に見てみてください。視野がひろがり、選択肢が拡がると、最初は思いもつかなかった道がひらけたりするかもしれませんよ。

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